歯の病気の代表的なものに、むし歯(う蝕)と歯周病があります。むし歯は“歯そのもの”が破壊される病気ですが、歯周病は“歯を支えるまわりの組織(歯周組織)”に起こる病気です。
自分が気がつかない軽い歯周病を含めると、40歳以上の成人のうち、5人に4人以上が歯周病にかかっているといわれ、歯周病は歯を失う最も大きな原因となっています。
歯周組織は歯肉(歯ぐき)歯槽骨(歯を支える骨組織)、歯根(歯の根元)をおおうセメント質、歯根と歯槽骨をつなぐ歯根膜からなり、歯を正しい位置にしっかり付着、固定するための強固な構造を備えています。
しかし、歯磨きが不十分で、歯と歯肉の間に細菌が住み着いて歯垢(プラーク)がたまると、そこに炎症が引き起こされます。
これが歯周病の始まりです。
初めは自覚症状がなく、鏡で見ても気がつきませんが、そのうち歯肉が赤くなったり腫れたりします。プラークが石灰化し歯石になると、自分では取り除きにくくなって歯周病が悪化し、歯と歯肉が付着している部分にすき間(歯周ポケット)ができます。さらに炎症が歯肉の内部に進行すると、歯根膜や歯槽骨が破壊されて、歯を固定する力がだんだん弱くなります。この状態のまま放っておくと、ついには歯を失うことになります。
比較的軽い歯周病であれば、歯や歯の周りを清潔に保つ治療を続けることで治すことができます。しかし、炎症が歯肉の奥まで進行し、歯周組織の破壊がひどい場合には、歯周組織を回復させるための手術(歯周外科手術)が必要となります。この手術の際に、歯周組織再生用材料という手術治療を補助するための、歯科用の材料が使われることがあります。
クボキデンタルオフィスでは
「エムドゲインゲル」を使用しています。
エムドゲインゲルは、スウェーデンのビオラ社で開発された新しいブタ歯胚組織使用歯周組織再生用材料です。エムドゲインゲルの主成分(エナメルマトリックスデリバティブ)は、子供の頃、歯が生えてくるときに重要な働きをするたんぱく質の一種です。現在の科学水準に基づく高い安全性確保の下、幼若ブタの歯胚から抽出精製したもので、2008年5月現在、世界44カ国で使用されています。
スウェーデン式バクテリアセラピー
による歯周病治療の導入
人間の体内には本来、悪玉菌と戦ってくれる善玉菌(プロバイオティクス)がたくさん共生しています。しかしながら、近年の研究によると、ストレスや食習慣の変化などにより、体内からプロバイオティクスが失われつつあるということが、だんだん明らかになってきました。そこで、減ってしまった善玉菌を新たに摂取することで悪玉菌の繁殖を抑制し、便秘や下痢、各種アレルギー、歯周病や虫歯などを未然に予防、または治療加速を行う最先端医療技術として、「バクテリアセラピー」が生まれました。当院では、歯周病などの予防を図るため、Bio Gaia社の善玉菌(L.ロイテリ菌)を用いたスウェーデン式バクテリアセラピーで、口腔内菌管理をサポートしております。
L.ロイテリ菌は、人の母乳・口腔由来の乳酸菌で、天然の抗菌物質を産生すると同時に免疫システムの調整を行い、さまざまな疾患の予防・治療に貢献するとの研究結果が出ています。
◇L.ロイテリ菌の特長
- 歯周病や虫歯菌を減らし、予防効果を高めます。
- 口臭や口腔内のべたべたした不快感を抑えます。
- 歯肉炎の症状を緩和します。
- 胃のピロリ菌を抑制し、症状を抑えます。
- 小腸の免疫細胞を活性化し、病気にかかりにくくします。
- アトピー性皮膚炎や花粉症など、アレルギー症状を軽減します。
- 便秘や下痢などを改善し、便通を整えます。
人間の体内に共生している善玉菌のみを摂取しますので、体に安全で優しい治療法です。また、食べ物から摂取する場合と違い、余分な脂肪分や糖分を含まないため、食事制限が必要な方や妊娠中の方、新生児から高齢者の方まで、安心して摂取することができます。
L.ロイテリ菌による口腔内管理は、以下の症状がある場合にお勧めしています。
- 歯肉が腫れやすい、血がでる
- 口腔内がべたべたする
- 口臭が気になる
- 虫歯になりやすい
- 歯が動く
- 風邪をひきやすい
- 便秘や下痢が続いている